ブログBLOG
戸籍とは?
相続開始時に、被相続人の出生時からの戸籍謄本を収集しますが、「戸籍」とはどのようなものなのでしょうか。
1.戸籍とは?
(1)日本人の出生から死亡に至るまでの親族関係を登録公証するもの
(2)現在の戸籍は夫婦単位で編製されている
(3)夫婦の子で成年であれば分籍もできる
(1)日本人の出生から死亡に至るまでの親族関係を登録公証するもの
子供が生まれたら出生届を提出し、戸籍に記載されます。
子供が結婚したら、結婚した夫婦間に新たな戸籍が編製されます。
この夫婦間に子供が生まれたら、この夫婦の戸籍に子供が記載されます。
この子供が結婚したら、その結婚した夫婦間に新たに戸籍が編製されます。
このように戸籍はずっと続いていくので、生まれた時までさかのぼっていけば、どんな親族関係であるかが確認できるわけです。
(2)現在の戸籍は夫婦単位で編製されている
現在は、結婚すると新たな戸籍が編製されます。
夫婦単位なので、家族の状況がすぐわかるようになっています。
以前([大正4年式戸籍]まで)は「家」単位で戸籍が編製されていました。
同じ戸籍内に何組もの夫婦が記載されていて、とても分かりにくいものでした。
[昭和23年式戸籍]以降は「夫婦」単位で編製されています。
上記のように結婚したら新しい戸籍が編製されるので、一つの戸籍に記載されるのは、夫婦とその子供までとなっています。
現在の戸籍は[平成6年式戸籍]です。
横書きのコンピューター化された戸籍で、手書きではないためとても読みやすくなっています。
(3)夫婦の子で成年であれば分籍もできる
子供が成年であれば、結婚していなくても新たに戸籍を編製することもできます。
「筆頭者」「配偶者」を除く戸籍に記載されている成年の人は、届出をすれば両親とは別の戸籍を編製することもできます。
何らかの事情があって、両親とは別の単独の戸籍が必要な場合には、子が成人であれば分籍できます。ただ、一度分籍すると元の戸籍には戻ることができなくなってしまうので、注意が必要です。
2.戸籍の種類は何種類あるの?
大きく分けると、3種類あります。
(1)戸籍謄本(全部事項証明書)
(2)除籍謄本
(3)改製原戸籍謄本
(1)戸籍謄本(全部事項証明書)
市区町村の窓口で普通に現在の戸籍を請求すると、コンピューター化された横書きの戸籍が出てきます。
コンピューター化された現在の[平成6年式戸籍]には、「謄本」とは記載されず、「全部事項証明」と記載されています。
コンピューター化された横書きの戸籍は、戸籍謄本ではなく「戸籍全部事項証明書」と呼ばれています。
(2)除籍謄本
戸籍に記載されている人が亡くなったり結婚したりした場合には、その戸籍から抜けることになります。これが「除籍」です。
誰か一人でもその戸籍内に残っていれば、それは「戸籍」として存続し、最終的に戸籍に記載された人がすべて抜けてしまって、誰もいなくなった状態の戸籍を「除籍謄本」と呼びます。
(3)改製原戸籍謄本
戸籍は法令等によって、様式が変更されることがあります。
現在のコンピューター化された[平成6年式戸籍]になる前は、縦書きの[昭和23年式戸籍]が使われていました。
法令等によってコンピューター化された横書きの様式に移行しましたが、この時はその時点でその戸籍に残っている人だけで、新しい戸籍が編製されています。
この移行前の古い戸籍が「改製原戸籍」と呼ばれています。
例えば、市区町村で平成20年に戸籍が改製されていた場合で考えてみましょう。
父・母・長男・長女の4人家族で、平成19年に長女が結婚し、長男はそのまま現在まで両親と生活しているとします。
長男が役所の窓口で「戸籍謄本が欲しい」と申し出ると、現在のコンピューター化された[平成6年式戸籍]が出てきます。
この戸籍には父・母・長男の3人しか記載されていません。
長男が窓口で、「家族4人全員が記載されているものが欲しい」と再度申し出ると、
1つ前の戸籍[昭和23年式戸籍]が出てきます。
この戸籍は平成20年に改製される前の戸籍で、父・母・長男とともに、平成19年に結婚した長女も「除籍」として記載されています。
家族4人全員が記載された戸籍であり、この戸籍が「改製原戸籍謄本」と呼ばれているものです。
3.「戸籍謄本」と「戸籍抄本」の違いは?
(1)戸籍謄本は、その戸籍の全員が記載されているもの
(2)戸籍抄本は、その戸籍の一部の人についてのみ記載されているもの
(1)戸籍謄本は、その戸籍の全員が記載されているもの
家族全員が記載されたものが必要な場合には、戸籍「謄本」を取ります。
コンピューター化された現在の戸籍は「戸籍全部事項証明書」と呼ばれていますが、窓口で請求する際には「戸籍謄本」で通用しますので、あまり名称を気にする必要はありません。
(2)戸籍抄本は、その戸籍の一部の人についてのみ記載されているもの
自分の分だけ記載されていればそれでいいということであれば、戸籍「抄本」を請求します。
こちらには、必要な人の分のみの記載となります。
法定相続人として提出する必要があるが、法定相続人には該当しない配偶者・子が同じ戸籍の場合には、戸籍「抄本」を請求すれば、その人のみが記載された戸籍が発行されます。
現在個人情報の取扱いについて非常に厳しくなっておりますので、戸籍抄本を要求される場合が増えていますが、「戸籍謄本でないと不可」という場合もありますので、提出先にその都度確認してみましょう。
4.相続で使う戸籍はどれになるの?
(1)被相続人の出生時からすべての戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍謄本
(2)法定相続人の現在の戸籍
(1)被相続人の場合
被相続人の場合は、法定相続人が何人存在するかを調査しなければならないため、生まれた時からの連続した全ての戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍謄本が必要となります。
法令等により戸籍は様式が変更され、その都度新しく戸籍が編製されています。
また、結婚・離婚等でも新たな戸籍が編製されます。
直近の戸籍を取得しただけでは情報量が不足しており、取得した戸籍の内容を基に順次さかのぼっていきます。必ず連続していますので、もれのないように注意が必要です。
生まれた時までさかのぼると、5通以上(本籍を変更している場合にはそれ以上)になることもあります。
戸籍をさかのぼっていくと、いままで親族が知らなかった認知した婚外子や養子等が発覚するケースも中にはあります。
(2)法定相続人の場合
法定相続人の場合は、その法定相続人が生存しているかどうかを確認するために必要となります。ですので、相続発生後に発行された現在の戸籍が必要です。
法定相続人本人だけの戸籍抄本でよい場合が多いですが、全員記載の戸籍謄本が必要となる場合もありますので、ご確認をお願いいたします。
横浜市内で相続手続中心の業務を行っている行政書士です。最寄駅は横浜市旭区の相鉄線二俣川駅です。新横浜経由で東急線との直通運転が始まり、とても便利になりました。